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児童一人ひとりの
「光る瞬間」を引き出す学び三重 暁小学校【インタビュー】

インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」

暁小学校で実践されているクリエーティブ探究「スコップ・クリエーティブ・コース」の取り組みについて、4・5年生の担任を務める大江先生と伊藤先生にインタビューしました。

プロフィール

大江 大介 先生
(暁小学校 教諭)
小学生の頃は先生が苦手だったが、5・6年生の担任が受験を応援してくれ、「先生っていいな」と思わせてくれたことが教員を目指すきっかけとなった。
そして、その先生は現在暁小学校の校長であり、再び同じ学校で共に働けることをとても嬉しく思っている。
大切にしているのは、「締めるところは締める」こと。
伊藤 祐弥 先生
(暁小学校 教諭)
子どもの頃から、特に好きな教科である社会の先生になりたいと憧れる。暁高校に入学し、当時の担任から「分け隔てなく人と話せるんだから、先生を目指してみたら?」と言われた一言が大きなきっかけとなり、教員を目指すようになった。
大切にしているのは、「安心して学校に来られること」。
〈聞き手〉 山本 敦之
(育伸社 学校関東営業所)
育伸社で営業一筋20年。
茨城営業所(9年)→仙台営業所(4年)→茨城営業所(2年)→学校関東営業所(5年)→現在に至る。
全国の私立学校を訪問する営業の傍ら、「自立」をテーマにした生徒向け進路講話などを行っている。

暁小学校について

1948年開校。男女共学の私立小学校で、学校法人暁学園の系列校である。
学園綱領「人間たれ」のもと、自分の力で未来を切り拓いていけるように、お互いに学び合う豊かな関係づくりを大切にしながら、「人間力」と「学力」の向上を目指す。

【暁小学校】
三重県四日市市蒔田3丁目3-37
https://www.akatsuki.ed.jp/akatsuki-e/

教育で大切にしていることは、
子どもたちとの信頼関係。
ダメなものはダメ!
成長にはくやしさも必要。

山本
教師として、普段どのようなことを大切にされていますか。
大江
私は「締めるところは締める」ことです。
いつもニコニコしているだけではなく、きちんと厳しさを見せる。そうすることで、子どもたちが困ったときに「この先生なら信頼できる」と思ってくれるはずです。もちろん、笑う時は一緒に笑う。そのメリハリが安心感につながると思っています。
昔は力加減が分からず厳しすぎたこともありましたが、今は少しずつ調整できるようになりました。
山本
叱ることが難しい時代になっていますが、やはり必要だと?
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
大江
はい。ここ10年ほどで本当にやりにくくなりました。でも、叱られる経験は子どもにとって必要です。辛いことや悔しいことを経験してこそ、人は成長します。
楽しいことだけでなく、厳しさも含めて学校で学んでほしいと思います。
伊藤
私は「安心して学校に来られること」を一番に考えています。
そのためには、クラスの雰囲気づくりや、子どもが「自分はここにいていい」と思える感覚、つまり「自己有用感」を持てることが大切です。授業や休み時間の何気ない関わりで、その感覚は育まれると思います。
山本
自己有用感が大切だと感じた具体的な場面はありますか。
伊藤
スコップ・クリエーティブ・コースの授業で、普段は発言しない子がユニークなコピーを考えました。その瞬間、クラスのみんなから「すごい!」と拍手が起こって。その子はとても嬉しそうで、自分の存在が認められたんだと思います。
そういう瞬間を見ると、「この仕事をしていて良かった」と心から思いますね。
大江
子どもにとって「居場所がある」と感じられることは何より大きいと思います。私学の強みは、先生が長く学校にいること。卒業生が戻ってきても「お世話になった先生がまだいる」と思える安心感があります。
子どもたちにとっても「ここは自分の居場所だ」と思えるのは、とても大切だと思います。
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」

SCC(スコップ・クリエーティブ・コース)
との出会いで、
普段の授業とは違う
「自由な発想の場」をつくれたことが良かった。

山本
「スコップ・クリエーティブ・コースを導入する」と聞いたとき、どのような印象を持たれましたか。
大江
総合の授業を担当するのが初めてだったので、「せっかくなら楽しいことをしたい」と思っていました。スコップは見た目もポップで、ウェブで見ても「楽しそう!」という印象でしたね。
教員研修で実際に体験した「しいたけのキャッチコピーづくり」では、時間を忘れて大盛り上がり。「これなら子どもたちも絶対楽しむ」と確信しました。
伊藤
私は探究学習に馴染みがなく、最初は「何を探究するんだろう」と戸惑いました。でも新しいことに挑戦できるワクワク感の方が勝っていました。
実際に授業をやってみると、子どもたちが普段見せない柔らかな発想を次々に出してきて、すぐに「これは面白い」と思いました。
山本
新しい取り組みが「負担」ではなく「楽しみ」として始まったのは素晴らしいですね。
実際に授業を行ってみて、どんな発見がありましたか。
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
伊藤
普段の授業では、国語なら漢字や文法、算数なら計算のように、「型にはまった学習」が中心です。でもスコップ・クリエーティブ・コースでは、例えば「しいたけの気持ちになってコピーを考える」「お風呂嫌いな子を好きにさせるキャッチコピーを作る」など、日常では出会えない発想の練習をします。すると、普段あまり発言しない児童が、意外なほどユニークで面白いコピーを考えて披露したんです。その瞬間、クラス全体が「この子はこんなことを考えるんだ!」と驚き、拍手が起こりました。これは通常の授業ではなかなか見られない姿でしたね。
授業中、私は「時間が足りない」と感じることが多かったです。1コマ45分に収めようとすると、どうしても制限されてしまう。実際、三角ペンの課題では、子どもたちが熱中しすぎて切り上げられず、最終的に予定の4時間を超えて7時間もかけてしまいました。けれど、その熱量こそが子どもの学びの力だと感じました。
大江
子どもたちにとって、この授業は「特別な時間」になっていました。国語や算数、体育や図工といった教科の一つではなく、「総合の中で特別に宇賀先生から学ぶ授業」として受け止めていました。毎日の日記にはその日の感想がびっしり書かれていて、「今日はシイタケのコピーを考えた」「三角ペンをプレゼントしてもらった」といった出来事を、とても誇らしげに綴っていたんです。
保護者会でその様子を映像で紹介したところ、「こんなに楽しそうに授業に参加している姿を見たのは初めて」「普段は家で話さない子どもが、この授業のことを自分から話していた」と感謝の声をいただきました。親にとっても、自分の子どもが堂々と考えを発表する姿は大きな驚きだったようです。
山本
子どもたちが「特別感」を持って受け止めた授業であり、家庭や保護者にも強いインパクトがあったわけですね。
伊藤
そうですね。しかも、授業で学んだ「視点を変える」という発想は、算数や国語など普段の授業でも自然と使うようになりました。
子どもから「先生、最近よく『視点を変えてみよう』って言うね」と言われたこともあります。知らず知らずのうちに私自身も影響を受け、授業スタイルが変わってきたと感じています。
大江
私も同じです。普段の授業とは違う「自由な発想の場」を経験したからこそ、子どもたちが日常の学習に対しても柔軟に考えられるようになったと思います。まさに、スコップ・クリエーティブ・コースならではの効果ですね。
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児童の反応は、すこぶる良かった。
能動的に考え、動き、発表する姿に、
大人が驚愕!

山本
授業を受けた子どもたちの反応はいかがでしたか。
大江
毎回の授業後に感想を録画していたのですが、「こんなに楽しそうに学んでいるのは初めて」と保護者の方から言われました。参観日以外では子どもの発言する姿を見る機会が少ないので、動画を見せると「うちの子がこんなに堂々と話している!」と驚かれていましたね。
伊藤
子どもたちは家でも授業のことをよく話題にしていたようです。日記にもたくさん書いてくれて、親御さんが目にするので、家庭でも「特別な授業」として認識されていました。
山本
ただ「答えを発表する」ではなく、「考えを言葉にして伝える」という行為自体が尊い。
だからこそ保護者にも強く伝わったのですね。
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多様な答えを認め合う学びによって、
視点が変わり、思考が変わる。
失敗を恐れずに、
考えることを楽しく学んでもらいたい!

山本
スコップ・クリエーティブ・コースは「正解が一つではない授業」ですが、その点についてはどう感じられましたか。
伊藤
他の子の答えに触れることで「自分だけじゃない」という気づきを得られます。学校で学ぶ意義はまさにそこだと思いました。
大江
高学年になると「正解を求める勉強」に偏りがちです。でも大人になれば答えがない場面ばかり。だから、今のうちから「自分の考えを持ち続ける経験」が必要だと改めて感じました。
山本
視点を変えて物事を考える習慣が、これからの人生の土台になっていくのですね。
伊藤
はい。そうなってもらいたいです。
山本
今後、SCCの学びをどのように発展させたいとお考えですか。
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
大江
コピーライティングを地域の特産品や運動会のスローガンづくりに応用していきたいです。
子どもたちが「学んだことを実生活に活かす」経験を積めればと思います。
もっと他のコンテンツにも挑戦していきたいですね。
伊藤
6年生になったとき、紅白の組テーマやキャッチコピーを子どもたち自身で作れるようになると思います。だからこそ、学年をまたいで続けていきたいですね。
山本
学びが行事や地域に広がっていくのは素晴らしいですね。
伊藤
通常の授業では見られない「光る瞬間」が必ず子どもにあると実感しました。
ぜひ多くの学校で取り入れてほしいです。
大江
子どもたちがこんなに生き生きとする授業はなかなかありません。
探究に悩んでいる学校にもヒントになると思います。
山本
本日はありがとうございました。
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