子どもたちの
「考える力」と「言葉」を育てる学び大阪 城南学園小学校【インタビュー】
城南学園小学校で実践されているクリエーティブ探究「スコップ・クリエーティブ・コース」の取り組みについて、前田先生、角田先生、荒濱先生にインタビューしました。
プロフィール
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- 前田 先生
(城南学園小学校 教諭) - 教員歴31年。
教育大学卒業後、一般企業での2年間の勤務経験を経て声をかけられ、城南学園小学校に入職。企業での経験から得た「学校だけが世界ではない」という感覚が、現在の教育観にもつながっている。
大切にしているのは、「子どもたちが自分で考え、自分なりの言葉を持ち、その言葉を使って他者と関わっていくこと」。
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- 角田 先生
(城南学園小学校 教諭) - 教員歴27年。
大学卒業後、非常勤講師としての道を考えていた時に、城南学園小学校との縁を得て入職。
大切にしているのは、「子どもたちが安心して自分を出せる環境をつくること」。失敗を恐れず、まずはやってみること、そこからまた考えることを通して、挑戦する経験を重ねてほしいと考えている。
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- 荒濱 先生
(城南学園小学校 教諭) - 教員歴16年。
子どもの可能性が広がる瞬間に関われる仕事に魅力を感じ、教員を志す。子どもは「教えてもらう存在」ではなく、「自ら学びをつくる存在」だと考えている。
大切にしているのは、「自分の学びを自分で捉え、次につなげていく力を育てること」。前向きなメタ認知を重視し、学びに向かう力を育てている。
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- 〈聞き手〉 山本 敦之
(育伸社 学校関東営業所) - 育伸社で営業一筋20年。
茨城営業所(9年)→仙台営業所(4年)→茨城営業所(2年)→学校関東営業所(5年)→現在に至る。
全国の私立学校を訪問する営業の傍ら、「自立」をテーマにした生徒向け進路講話などを行っている。
城南学園小学校について
1950年開校。男女共学の私立小学校で、学校法人城南学園の系列校である。建学の精神「自主自律(強く正しい)」「清和気品(清くやさしい)」のもと、知・徳・体の調和が取れた人格形成を大切にしながら、子どもたちが自ら学び、未来を創るための「学びに向かう力」を育てる教育を目指す。
【城南学園小学校】
大阪府大阪市東住吉区湯里6丁目4-26
https://www.jonan.ac.jp/es/
教育で大切なのは「子どもの言葉」。
自分で考え、
自分の言葉で伝える力を育てたい。
- 山本
- まずは先生方ご自身について、教員歴や先生になったきっかけ、そして教育の中で大切にされていることを教えてください。
- 前田 先生
(以下 前田) - 私は教員歴31年になります。
教育大学を卒業して教員免許は持っていたのですが、当時は公立学校の採用枠が非常に少なく、一度一般企業に就職しました。ただ、2年間働いた後に「先生をやってみないか」と声をかけていただき、城南学園小学校に入職しました。
振り返ると、遠回りをしたようにも見えますが、企業経験があったからこそ、学校の外の社会を見ることができましたし、「学校だけが世界ではない」という感覚を持てたのは良かったと思っています。
教育で大切にしているのは、「子どもたちが自分で考え、自分なりの言葉を持ち、その言葉を使って他者と関わっていくこと」です。
自分だけの価値観で生きるのではなく、「違う価値観を持つ人と出会い、対話しながら考えを深めていける人」になってほしいと思っています。

- 山本
- やはり「言葉」ですよね。
子どもたちは学校で様々な学びをしますが、その根底にあるのは先生方の言葉だと思うんです。先生の言葉が、子どもの人生を支えることもありますよね。
- 前田
- 本当にそう思います。
だからこそ、何気なく発する言葉にも責任がありますね。
- 山本
- 角田先生はいかがですか?
- 角田 先生
(以下 角田) - 私は教員歴27年になります。
大学卒業時に公立の採用試験を受けたのですが、ご縁がなく、非常勤を考えていた時に、城南学園小学校とのご縁をいただきました。
私が大切にしているのは、「子どもたちが安心して自分を出せる環境をつくること」です。
「間違えたらどうしよう」「失敗したら恥ずかしい」と思ってしまうと、子どもは挑戦しなくなります。だからこそ、まずはやってみること。失敗しても、そこからまた考えること。その経験をたくさん積ませたいと思っています。
- 山本
- 最後に、荒濱先生。お願いします。
- 荒濱 先生
(以下 荒濱) - 私は教員として16年目になります。
これまでの教育実践の中で一貫して大切にしてきたのは、「子どもが自分の学びを自分で捉え、次につなげていく力を育てること」です。
教員を志したのは、子どもの可能性が広がる瞬間に関われる仕事に魅力を感じたからです。現場で子どもたちと関わる中で、子どもは「教えてもらう存在」ではなく、「自ら学びをつくる存在」だと感じています。
そのために大切にしているのが、「前向きなメタ認知」です。できた・できなかっただけでなく、「なぜできたのか」「次はどうするか」を考えることで、学びに向かう力が育つと考えています。また、失敗を恐れず挑戦できる、安心した環境づくりも大切にしています。

プロとの出会いが、
学校に新しい刺激を生んだ。
普段の授業では生まれない
“自由な発想”が広がった。
- 山本
- スコップ・クリエーティブ・コース(以後SCC)導入時の印象や期待について教えてください。
- 荒濱
- 城南学園小学校では、1年生から6年生までの全学年で導入しました。
「単発のイベントではなく、学年ごとに積み上がる学びにしたい」という想いがありました。
今年の1年生が6年間受講すると考えると、とても面白いですよね。学校の文化として蓄積されていく可能性を感じました。
- 山本
- それは非常に大きいですね。
- 前田
- 実は昨年、6年生が恐竜の授業を受けていたのを見ていました。その時、子どもたちが本当に自然に言葉を交わしながら学んでいたんです。普段の授業とは違う熱量がありました。
ですので、自分の学年で実施する時も、非常に楽しみでした。

- 角田
- 私は図工を専門に教えているわけではないので、プロのクリエイターがどう授業を進めるのか純粋に興味がありました。
- 山本
- 授業準備はどうでしたか?
- 前田
- 想像以上に負担が少なかったです。
教材も整っていましたし、子どもたちを見る時間を確保できました。
- 角田
- 教師が「授業を成立させること」に追われず、子どもの変化を見ることに集中できたのは大きかったですね。

「正解がない問い」が、子どもを変えた。
自分から動き、
友達と学び合う姿が増えていった。
- 山本
- 実際に授業をしてみて、子どもたちにどんな変化がありましたか?
- 前田
- 一番印象的だったのは、「普段あまり目立たない子が活躍する場面があったこと」です。
新聞建築の授業で、どうすれば建物を強くできるかを考えていた時に、ある子が「ここにもう一本柱を入れたら強くなるんじゃない?」と提案したんです。その瞬間、周囲の子たちが「それいいね」「やってみよう」となって、その子が自然と中心になっていきました。
普段の国語や算数の授業だけでは見えない力が、こういう場では見えるんだと感じました。
- 山本
- 学校のテストでは測れない力ですね。
- 前田
- 本当にそうです。
教師側にも、「この子にはこういう力があったんだ」という新しい発見がありました。

- 角田
- 1年生でも似たようなことがありました。
最初は「わからない」「できない」と言っていた子が、友達のアイデアを聞いて、「じゃあ私はこうしたい」と話し始めたんです。
その変化は本当に大きかったですね。
- 山本
- 子ども同士で「学び」が生まれているんですね。
- 角田
- はい。
先生が教えるよりも、子ども同士のやり取りのほうが強い瞬間があります。
- 荒濱
- これまでの学校教育では、先生が正解を持っていて、それを教える構造が多かったと思います。もちろん基礎学力は非常に重要ですし、それを否定するつもりは全くありません。
ただ、社会に出た時に必要になるのは、「誰かが用意した答えを早く出す力」だけではないですよね。自分で問いを立てたり、周囲の人と協力したり、失敗しながら改善していく力が必要になります。
SCCの授業を見ていて感じたのは、子どもたちがそのプロセスを自然に経験していることでした。
例えば、うまくいかなかった時にすぐ諦めるのではなく、「じゃあ別の方法を試してみよう」と話し合いながら動いていたんです。これは大人が言葉で教えても、なかなか身につかない力だと思います。
- 山本
- 体験の中でしか育たない部分がありますよね。
- 荒濱
- 本当にそう思います。
しかも、普段の授業ではあまり前に出ない子が、こうした場面ではリーダーシップを発揮することもあります。先生たちにとっても、新しい発見が多いんです。
「この子にはこんな強みがあったんだ」と気づける機会になっています。
- 山本
- 学校側の見方も変わりますね。
- 前田
- そうですね。
子どもたちも「やらされている」感じではなく、自分で没頭していました。それが一番良かったと思います。

答えが一つではない時代へ。
学校全体で“考える文化”を
育てていきたい。
- 山本
- 導入後、先生方の教育観に変化はありましたか?
- 前田
- 「正解がなくてもいい」という感覚を、もっと日常の授業でも大切にしたいと思うようになりました。
算数でも国語でも、答えが一つだったとしても、そこに至るまでの考え方は複数あっていいと思うんです。
以前よりも、子どもたちの考えを聞く時間を意識的に増やすようになりました。
- 角田
- 私も同じです。
1年生でも「違っていい」という感覚が少しずつ育っています。以前よりも友達の意見を受け止める子が増えましたし、困っている友達を自然に助ける姿も見られるようになりました。
- 山本
- 保護者の反応はいかがでしたか?

- 前田
- 授業参観の際に、「こんな授業をしていたんですね」「うちの子がこんなに話している姿を初めて見ました」という声をいただきました。
保護者の方も新鮮だったと思います。
- 荒濱
- 保護者世代は、まだ「正解を出す教育」を受けてきた方が多いと思います。だからこそ、最初は「これって何の勉強なんですか?」という声をいただくこともあります。
ただ、授業を見ていただくと印象が変わるんです。
子どもたちが本気で考え、対話し、試行錯誤している姿を見ると、「こういう学びが必要なんですね」と理解していただけることが多いです。
- 山本
- 保護者の理解も重要ですね。
- 荒濱
- 非常に重要です。
今の社会変化を考えると、従来型の教育だけでは難しい部分も増えていくと思います。AIが発達し、知識へのアクセスが容易になる中で、人間に求められる力は確実に変わっています。だからこそ、学校としても新しい学びへアップデートし続ける必要があります。
- 山本
- 学校文化にもつながりますね。
- 荒濱
- そうですね。
探究活動、学校行事、普段の授業、すべてにつながっていくと思います。
「自分で考える」「他者と協働する」「失敗を恐れず挑戦する」という文化を、学校全体で育てていきたいですね。
SCCは単なるプログラム導入ではなく、その入口になり得ると感じています。
- 前田
- 単発で終わる取り組みではなく、学校の文化として根付かせていきたいです。

今後、SCCの導入を
検討している先生方へ。
- 山本
- 最後に、SCCの導入を検討されている先生方へメッセージをお願いします。
- 前田
- 正直、導入前は「自分たちに本当にできるのかな」という不安はありました。新しい取り組みを学校に入れる時は、どうしても準備負担や授業運営への不安がありますよね。
ただ、実際にやってみると、その印象は大きく変わりました。教材や動画が非常に整理されているので、教師側がゼロから準備をしなければいけない負担が少ないんです。だからこそ、教師が「授業を成立させること」に追われるのではなく、子どもたちの変化を見る時間を持てました。
「この子、こんな発想をするんだ」「普段は静かな子が今日は中心にいる」。そういった発見が本当に多かったですね。
- 山本
- 先生が教える側だけではなく、観察者にもなれるんですね。
- 前田
- そうですね。
普段の授業ではどうしても進度や正解に意識が向きやすいですが、こうした時間は、子どもの可能性を改めて感じられる機会になりました。
- 角田
- 私も同じ印象です。
特に低学年は「まだ難しいかな」と思われがちですが、実際には大人が想像する以上に柔軟です。自由に考えることを楽しんでいましたし、友達の意見を聞きながら自分の考えを変えていく姿も見られました。
また、普段の授業では出会えないプロフェッショナルの視点に触れられることも大きいと思います。
学校の先生だけでは届けきれない刺激があります。

- 山本
- 外部の視点が入る価値ですね。
- 角田
- はい。しかも、先生側がその学びを吸収できるのも面白いです。
「こういう問いの立て方があるんだ」「こうやって子どもの発想を引き出すんだ」と、私たち自身も学びになっています。
- 荒濱
- 学校教育は今、大きな転換点にあると思っています。
これまでのように、知識を効率的に教えることだけでは対応できない時代になっています。AIの進化によって、知識へのアクセスはどんどん簡単になっています。
その中で、学校が本当に育てるべき力は何か。私は、「自分で問いを持つ力、他者と協働する力、そして失敗を恐れず挑戦する力」だと思っています。
SCCは、その入口として非常に価値があると感じています。単なる「面白い授業」で終わるのではなく、学校全体の学びをアップデートしていくきっかけになり得ます。新しい取り組みには不安もあると思いますが、まずは一歩踏み出してみることが大切だと思います。
子どもたちの想像以上の可能性に、きっと先生方自身が驚くはずです。
- 山本
- 本日はありがとうございました。