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授業者として探究的な学びに
関わる機会があることで、
自らアイデアを考え出すためのきっかけに東京 宝仙学園小学校【インタビュー】

インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」

「スコップ・クリエーティブ・コース」は、子どもたちが社会に出た時に活きる想像力=自分で答えをつくり出す力を育むプログラム。VUCAの時代の中では、答えのない問題に対して自らが考え、他者との関わりの中で、最後までやり抜く力が不可欠です。様々な領域の学びをテーマにして、「視点を変えて物事を見る」「自分のアイデアを他者に伝える」ことなどを体感しながらプログラムを進められるため、「探究学習」の入り口としての活用が可能です。
今回は東京都中野区の宝仙学園小学校の先生方にインタビュー。導入の経緯、実際に授業をしてみての感想を伺いました。

プロフィール

プロフィール|インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
吉金 佳能 先生 (宝仙小学校 教諭)
1983年茨城県生まれ。教員歴17年。同校の理科専科、ICT教育研究部主任。東京私立初等学校協会理科研究部主任も務める。
「教育×ICT」をテーマとした私立小学校のコミュニティ「192Cafe(いちきゅうにカフェ)」を立ち上げるなど、教育現場全体のICT推進にも尽力している。
著書に『小学校理科 探究的な学びのつくり方』(明治図書)など。
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中村 優希 先生 (宝仙小学校 教諭)
教員歴6年。社会科専科で同校に入職。
現在は3年生のクラス担任でもある。教員として大切にしているのは「楽しい学校、楽しいクラスをつくること」。
ICT夢コンテスト2021(一般社団法人日本教育情報化振興会主催)にて『児童・保護者の学びを更新する「保護者参加型オンライン授業」』がNHK賞を受賞。
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〈聞き手〉 山本 敦之
(育伸社 学校関東営業所)
育伸社で営業一筋20年。
茨城営業所(9年)→仙台営業所(4年)→茨城営業所(2年)→学校関東営業所(5年)→現在に至る。
全国の私立学校を訪問する営業の傍ら、「自立」をテーマにした生徒向け進路講話などを行っている。

宝仙学園小学校について

1953年開校。
「品格と知性を兼ね備えた人を造る」という教育理念のもと、宗教的信念のある人格育成を目指し、宝仙寺の隣に学園を建設。慈悲の心を基に思いやりの心、感謝の心、奉仕の心を育む。近年は、ICT教育や探究プログラムの教育先進校として、注目が高まっている私立の小学校。

【宝仙学園小学校】
東京都中野区中央2-33-26
https://www.hosen.jp

「スコップ・クリエーティブ・コース」
を活用することで、
担任の先生でも
探究的な学習を実施する第一歩になる

山本 敦之
(以下 山本)
お二人は、何がきっかけで「スコップ・クリエーティブ・コース」(以下 SCC)をお知りになったんですか?
吉金 佳能 先生
(以下 吉金)
岡本さん(岡本 弘毅:スコップChief Growth Director/総合教育事業を展開するエデュソル代表)から紹介を受けたことがきっかけです。
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山本
なるほど。はじめ聞いて、SCCにどんな印象をお持ちになりましたか?
吉金
話を聞いていく中で、どんな姿が見られるのか、実際に見てみたいという想いが強くなりました。それは、岡本さんが20年近く、探究的な学びをコンセプトとした民間の塾を続けてこられているからです。SCCが急ぎでつくられたものではなく、その実績に支えられたものだと思いました。
山本
中村先生はいかがでしょう?
中村 優希 先生
(以下 中村)
私は、吉金からこのSCCの紹介を受けました。そのときに抱いたのは、期待でした。本校には「創造探究」という授業がありますが、担任の裁量に任される部分が大きくあります。それが面白さでもあるのですが、具体化する難しさがつきまとってきます。このSCCのようにパッケージ化された教材を活用することで、担任の先生でも探究的な学習を実施する第一歩になるのではないかと思いました。
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山本
現在、中村先生には3年生で、吉金先生には6年生で実際にSCCの授業をしていただいています。具体的な内容を教えていただけますか?
中村
はい。私は「恐竜の絶滅」をテーマにした授業を採用しました。国立科学博物館の真鍋真先生がナビゲーターで、全4回のプログラムを実施しました。「もしも恐竜が絶滅していなかったら、どんな世界になっていた?」といった話を聞きながら、子どもたちと類推を進めていくような授業になりました。完全な想像ではなく、史実やデータを基に自分の考えを持ち、発表を行います。
吉金
6年生は「机が使いやすくなるプロダクトデザイン」という授業を進めています。現在、全4回中、2回目まで進んでいます(取材時)。なかったものを生み出すというのが面白いですね。

パッケージ化されたプログラムで
ありながら、
学校の実態に合わせて
運用の仕方を工夫できる。

山本
SCCでは、採用する授業を決めていただき、その授業用のキットを学校にお送りします。先生には事前レクチャー用の映像を見てもらえば、そのまま授業に臨んでもらえるようになっています。
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吉金
特に事前の打ち合わせとかもなかったです。ワークシートも準備してもらえます。
中村
授業準備の時間が短縮されたことは、非常にありがたかったです。動画内に登場するナビゲーターの方が授業を進めてくれます。私自身は動画を見て内容を予習し、本校の実態に合わせて進め方を計画しました。自分で一から授業を用意することを考えると、圧倒的に短時間で授業ができました。
山本
先生の準備が短縮されるというのは、こちらもそれを狙って作っていますので嬉しいですね。SCCの授業を進めるに当たって、ご自身で工夫されていることはありますか?
中村
私は2点あります。1つ目は教室での写真の見せ方です。動画の中では、例えば恐竜の骨格の写真が映されますが、同時にナビゲーターの先生の写真も画面の中に入ってくることがあります。そうなると、本来見せたい恐竜の写真が小さくなってしまい、教室の後ろの座席の子どもは見えづらくなってしまいます。動画で大きく見せたい部分を予めスクリーンショットを撮っておいて、子どもたちが見られるiPadのもうひとつの画面に映して、そちらを見てもらうようにしました。
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山本
なるほど。
中村
もう1つは、授業の時間です。本校は40分授業ですが、SCCは45分の想定で設計されています。ですので、プログラムの中の話し合い時間や回数を調整しました。グループで3回話し合うところを1回分省き、それを全体発表の時間に当てることもありました。
山本
吉金先生はいかがでしょうか?
吉金
工夫した点というと、ICTの活用でしょうか。SCCは紙のワークシートを使って進めるのが前提になっていますが、私の授業ではICTを使い、ワークシートを撮影して子どもと共有したり、子どもたちの発表に活用したりしました。
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山本
SCCの面白い点は、パッケージ化されたプログラムでありながら、実際に現場で授業を担当されている先生方が、ご自分の持ち味を授業の中に反映させながら、運用を工夫できるところだと思います。
吉金
確かに、中身ができている分、運用面での工夫に目を向けることができました。

「最初はどうなるかなと
思っていたけど、
自分の考えを
出すことが面白かった。」

山本
ちなみに子どもたちや保護者、周囲の先生方の反応は何かありましたか?
中村
私が担当した3年生のほうでは、元々恐竜好きの子どもたちがどハマりしました。SCCの授業がないと、「どうして今日はないんだ。」と言われることもありました。恐竜に興味がなかった子でもワークシートの感想文に、「元々恐竜が好きなわけではないから、最初はどうなるかなと思っていたけど、自分の考えを出すことが面白かった。」と書いてくれていました。SCCの自分の考えを発表していく経験がその子にはフィットしたのだと思います。ある保護者は「うちの子、毎週恐竜の授業を楽しみにしています。」と話してくださいました。家に帰ってからも、SCCの授業のことを話していたようです。
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普段の授業とはまた違う視点で
授業づくりができるのは、
多くの先生に
とって学びになる部分が大きい。

山本
授業準備の時間が短くて済むという話をいただきましたが、その他にSCCを実施してみての感想はありますか?
中村
探究的な学び、本校でいうと「創造探究」の時間に何をするか?そのアイデアを出すのが、教員にとっては非常に大変です。0から1を創り出すには、時間も労力も大きく必要です。そんなときに、このSCCのカリキュラムを活用して授業を行うことはメリットがあると感じています。授業者として探究的な学びに関わる機会があることで、自らアイデアを考え出すためのきっかけにもなると感じました。
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吉金
見学されたベテランの先生は、「面白いけど、どうなのかな」と仰っていて、その感想は教師としては当たり前なのかなと思いました。本来は教師としてSCCで実施しているような授業を自分たちで作っていかなければならないんだと思います。私自身もその葛藤はあって、あくまで授業の骨格は自分たちで組み立てて行かなければならないと思っています。
中村
やはり私達はこれをきっかけにするべきだと思っています。普段の授業とはまた違う視点で、授業づくりができるのは、多くの先生にとって学びになる部分が大きいと感じています。今後もSCCを続けていきたいと考えていますし、核となる部分を教師として探っていきたいと考えています。

SCCは、子どもの創造性を高める
プログラムであり、
問いの立て方や
支援の仕方を学ぶ教員研修にもなる。

山本
最後に、現在SCCの導入を検討している他校の先生方にメッセージをお願いいたします。
中村
高等学校で「探究」の授業が必修科目となり、今後は中学校や小学校にもおりてくると思います。そうなってから準備を始めるのではなく、探究的な学びで何を目指すのかを理解し、今のうちからその学校なりの探究的な学びを考えることが大切だと思います。
その一つの手立てとして、このSCCは魅力的なコンテンツだと思っています。私も実際に経験し、授業者として関わることで初めて気付くことがあったり、自分なりにこうしてみたいという思いや熱意が湧いたりしてきました。まずは一度試してみるということが大事なのかなと思います。
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
山本
吉金先生はいかがでしょうか?
吉金
私も、探究的な学びの入口として最適かなと思っています。子どもの創造性を高めるプログラムとしてはもちろん、実践を複数の教員で進めることで、教員研修にもなると感じました。子どもの創造性や探究心を高めるためには、どのような問いをたて、どのような支援が必要か。体験を通して学ぶことができます。
また、既成のプログラムなので、同僚の先生たちと授業の内容について議論をしやすいのかなと思っています。同僚がつくったプログラムだと、どうしても言いにくいこともありますが、SCCの場合はそうではないので、ストレートに議論することができます。
今回も互いに授業を見合い、また事後に振り返りを行う中で、これからの教育に必要なことを共に高めあいながら考えていくことができました。まさに実践的教員研修であったと感じます。
インタビュー|スコップ・クリエーティブ・コース|学習塾や学校向けの教材出版会社「育伸社」
山本
先生方、本日はありがとうございました。